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たのしく学ぶゴム素材「ウレタンゴム」
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ゴム界の怪力王!強くて脆い「ウレタンゴム」の光と影

ゴム素材の使い分けを学ぶシリーズ。今回は、ゴムとプラスチックのハーフとも呼べるトップクラスの強度を持つウレタンゴムをピックアップ。「ゴム博士」と「輪ゴムちゃん」と一緒に、その高いパワーと、逃れられない運命「加水分解」について学んでいきましょう。

「力持ち」のゴムといえばウレタン

輪ゴムちゃん

輪ゴムちゃん

博士! 前回は油に強いNBRを学びましたが、もっと「力持ち」なゴムはないんですか? 重たい機械の下敷きにしたら、普通のゴムだと潰れちゃって……。
ゴム博士

ゴム博士

ふぉふぉふぉ。それなら今回の主役、「ウレタンゴム」の出番じゃな。こいつはゴム界の「横綱」じゃ。引っ張り強さや、摩擦ですり減る「耐摩耗性(たいまもうせい)」においては、一般的なゴム材料と比べて頭一つ抜けたスペックを持っておるぞ。
輪ゴムちゃん

輪ゴムちゃん

横綱! なんだかすごく強くて頼りになりそう!
ゴム博士

ゴム博士

工場の台車のタイヤ(キャスター)や、ブルドーザーの部品、ベルトコンベアのローラなど、「とにかく削れてほしくない」「重さに耐えてほしい」場所では、ウレタンゴムの独壇場じゃ。条件によっては、天然ゴムの数倍以上の耐久性を見せることもあるんじゃよ。
ウレタン製ローラー

【深掘り】最強の力持ちを襲う「水分」の罠

輪ゴムちゃん

輪ゴムちゃん

すごい! 摩耗しにくく重さにも強いなんて、もう全部ウレタンにしちゃえばいいんじゃないですか?
ゴム博士

ゴム博士

……それができれば苦労はせんのじゃ。実はウレタンには、非常に重要な弱点となる“水分”がある。
輪ゴムちゃん

輪ゴムちゃん

水分ですか? じゃあ、水たまりに入ったり、雨に濡れたりするとダメなんですか?
ゴム博士

ゴム博士

実はウレタン自体にはある程度の疎水性があって、水しぶきがかかる程度や、短時間水に触れるくらいなら、そこまで問題にはならないんじゃ。エーテル系なんかは水中ポンプのシールにも使われておるくらいじゃからな。
輪ゴムちゃん

輪ゴムちゃん

えっ、じゃあ水は大丈夫なんですか?
ゴム博士

ゴム博士

いや、油断は禁物じゃ。本当に問題になるのは、「液体の水に触れていなくても、湿気だけで徐々に分解が進む」ことなんじゃよ。
輪ゴムちゃん

輪ゴムちゃん

濡れてないのに崩壊……?
ゴム博士

ゴム博士

これを専門用語で「加水分解(かすいぶんかい)」と呼ぶ。ウレタン(特にエステル系)は、空気中に漂う目に見えない「湿気(水蒸気)」を吸い込むだけで、分子の鎖が勝手にブチブチと切れてしまうんじゃよ。条件によっては、高温多湿の環境に放置しているだけで、想定よりずっと早く性能が落ちてしまうこともあるんじゃ。
輪ゴムちゃん

輪ゴムちゃん

見えない湿気の方が怖いなんて……!
あーっ! あります! お気に入りの靴が粉々になってショックでした……。あれがウレタンなんですか!?
ゴム博士

ゴム博士

そう。あれこそが加水分解じゃ。ソール材としてポリウレタンが使われている靴では、よく起こる現象なんじゃよ。知らぬ間に水分アタックを受けていたというわけじゃな。
加水分解でボロボロになった靴底

運命の分かれ道「エステル」と「エーテル」

輪ゴムちゃん

輪ゴムちゃん

ええっ、じゃあ湿気の多い日本じゃウレタンは使えないってことですか?
ゴム博士

ゴム博士

そこは「家系図」を見極める必要がある。ウレタンには大きく分けて2つの系統があるんじゃ。ここを間違えると大惨事になるぞ。

1. エステル系:強度は非常に高く、油にも強い。だが、水と湿気による加水分解が起こりやすい。
2. エーテル系:強度はエステル系より少し落ちるが、水や湿気に強い
輪ゴムちゃん

輪ゴムちゃん

なるほど! 「強さのエステル」か、「長持ちのエーテル」かを選ぶんですね。
ゴム博士

ゴム博士

その通り。乾燥した工場内で油まみれになるなら「エステル系」、屋外や水回りで使うなら「エーテル系」。これを間違うと、環境によっては、想定よりずっと早くボロボロになることさえあるんじゃ。

【ゴム材料 物性比較表】ウレタン vs NBR vs 天然ゴム

選定のポイント 「摩耗に強い」と「水分への強さ」のトレードオフを確認しましょう。
特性項目 ウレタン
(エステル系)
ウレタン
(エーテル系)
ニトリル
(NBR)
天然ゴム
(NR)
耐摩耗性 ◎ (最強) ◯ (強い) △ (普通) ◯ (良)
機械的強度 ◎ (最強) ◯ (強い) ◯ (良) ◯ (良)
耐水性・湿気 × (苦手)
高温多湿・長期保管で加水分解に注意
◎ (強い)
水回り・屋外用途に好適
◯ (良) ◎ (優)
耐油性 ◎ (優) △ (普通) ◎ (優) × (不可)
コスト △ (やや高) △ (やや高) ◎ (安価) ◎ (安価)

※記号は目安です。実際の選定にあたっては、必ず各メーカーの詳細な仕様を確認してください。
※ここでの「強度」「水への強さ」は、一般的なグレードの傾向を示したもので、配合・グレードによっては例外もあります。

【事例集】現場で起きた!ウレタンの「やらかし」

輪ゴムちゃん

輪ゴムちゃん

最強だからといって、どこにでも使えるわけじゃないんですね。
ゴム博士

ゴム博士

そうじゃ。「強さ」に目がくらんで失敗した事例を紹介しよう。
1. 「新品のはずが粉々」倉庫での悲劇

予備部品としてウレタン(エステル系)のパッキンを、空調の効かない倉庫に5年保管。水には触れていないが、日本の夏の「湿気」だけで加水分解が進み、開封した時には手で握りつぶせるほど劣化していた。

2. 「船便でドロドロ」赤道直下の恐怖

日本で作った機械を海外へ輸出。赤道直下を通る高温多湿な船コンテナの中で加水分解が加速し、現地に到着した頃にはパッキンが著しく軟化・崩壊していて、使い物にならなくなっていた。

3. 「屋外でボロボロ」万能説の崩壊

「強いゴムだから」と屋外の扉のクッションに使用。雨(液体)と日光(紫外線)のダブルパンチを受け、わずか1年でひび割れて脱落した。この用途なら、一般にはEPDMなどの耐候性ゴムを選ぶのが無難じゃったな。

【ウレタンゴムの特徴まとめ】

ウレタンゴムは、ゴムとは思えないほどの「強度」と「耐摩耗性」を持つ、まさに怪力王です。 キャスター、ローラー、緩衝材など、激しい摩擦や荷重がかかる場所では右に出るものはいません。

しかし、湿気という隠れた弱点を抱えています。使用環境が「乾燥しているか」「水気があるか」を見極め、エステル系とエーテル系を正しく使い分けることが、この暴れ馬を乗りこなすためのもっとも重要なポイントです。


▼次に学ぶべきゴム素材は「シリコーンゴム(Q)」

ゴム博士

ゴム博士

さて、力持ちだが水に溺れるウレタンの次は、打って変わって「清潔・耐熱・耐寒」のエリートゴムを紹介しよう。お料理道具から医療現場まで活躍する、白い肌のあいつじゃ!
【シリコーンゴム(Q)特集ページへ進む】

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