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ゴム通 > たのしく学ぶゴム素材「NBR」

ゴム素材の使い分けを学ぶシリーズ。今回は、現場で最もよく目にする「耐油ゴム」の代表格、ニトリルゴム(NBR)をピックアップ。「ゴム博士」と「輪ゴムちゃん」と一緒に、その驚異の耐油性能と、意外な弱点について学んでいきましょう。
現場の定番!「耐油ゴム」といえばNBR
博士! 前回はバランスの良いCRを学びましたが、今回はさらに「油」に特化したゴムがあると聞きました。
おお、よくぞ聞いた。それこそが今回の主役、「NBR(ニトリルゴム)」じゃ。
現場で「黒い耐油ゴム」と言えば、多くの場合このNBRが使われている、まさに「耐油ゴムの代表選手」なんじゃよ。
現場で「黒い耐油ゴム」と言えば、多くの場合このNBRが使われている、まさに「耐油ゴムの代表選手」なんじゃよ。
王様! かっこいいですね。どんなところで活躍しているんですか?
工場の機械の中にある「パッキン」や「Oリング」、自動車のエンジン周り、さらには君も見たことがある「青いニトリル手袋」まで、油がある場所には必ずと言っていいほどNBRがおるんじゃよ。

【深掘り】油には強いが「お肌」が弱い?
そんなに引っ張りだこのNBRなら、CRみたいに「迷ったらこれ」でいいんじゃないですか?
そこがゴムの奥深いところじゃ。実はNBRには、「外の世界」が苦手という意外な弱点があるんじゃよ。
外の世界? どういうことですか?
NBRは「耐候性(たいこうせい)」、つまり太陽の光や空気に含まれる「オゾン」にめっぽう弱いんじゃ。
外気にさらされ、負荷やひずみがかかった状態で使用すると、条件によっては比較的短期間で表面にバキバキのひび割れ(オゾンクラック)が入ってしまうことがある。
外気にさらされ、負荷やひずみがかかった状態で使用すると、条件によっては比較的短期間で表面にバキバキのひび割れ(オゾンクラック)が入ってしまうことがある。

ええっ! 油に浸かっていれば無敵なのに、お日様の下ではボロボロになっちゃうんですか?
そうなんじゃ。だから、NBRは「箱入り息子」のようなもの。
機械の内部など、日光が当たらない場所で油を守るのが一番の得意技なんじゃよ。
機械の内部など、日光が当たらない場所で油を守るのが一番の得意技なんじゃよ。
要注意!「油」と「ガソリン」は別物じゃ
博士、もう一つ質問です! 「耐油性◎」って書いてあれば、ガソリンに使っても大丈夫ですよね?
これまた鋭い、そして危険な勘違いじゃ!
実は、NBRにとって「機械油」と「ガソリン」は全くの別物なんじゃよ。
実は、NBRにとって「機械油」と「ガソリン」は全くの別物なんじゃよ。
えっ、どっちも油じゃないんですか!?
ガソリンは油というより、ゴムを膨潤させたり劣化させたりしやすい「溶剤」に近い性質を持っておるんじゃ。一般的なNBRだと、配合や使用条件によってはガソリンを吸って消しゴムのようにふやけて、大きく膨らんでしまうことがあるんじゃ。
パッキンがブヨブヨになると、隙間から溢れ出しちゃいますね……。
その通り。もしガソリンに使うなら、NBRの中でも「高ニトリル」というエリート材を選ぶか、より強力な「フッ素ゴム(FKM)」を選ぶのが正解じゃな。
【ゴム材料 物性比較表】
「耐油ゴム」を検討する際の目安です。代表的な配合を想定した一般的な傾向であり、すべての製品を保証するものではありません。使用環境に合わせて最適なものを選びましょう。
| 特性項目 | NBR (中ニトリル) |
NBR (高ニトリル) |
CR (クロロプレン) |
FKM (フッ素ゴム) |
|---|---|---|---|---|
| 機械油 | ◎(優) | ◎(優) | ◯(良) | ◎(優) |
| ガソリン | △(膨張) | ◯(適) | ×(不可) | ◎(最強) |
| 耐候性(日光) | ×(不可) | △(弱) | ◯(良) | ◎(最強) |
| 耐熱温度(目安) | 100℃ | 120℃ | 100℃ | 230℃ |
| コスト | ◎(安価) | ◯(普通) | ◯(普通) | ×(高価) |
【事例集】現場で起きた!NBRの「やらかし」
NBRを選ぶときは、「外気に触れるか」「相手がガソリンか」を確認するのが大事なんですね。
その通り! 最後に、よくある失敗事例をまとめておこう。
- 1.「昨日まで大丈夫だったのに」急なひび割れ
屋外の燃料キャップに使用。ガソリンには耐えていたが、外気のオゾンに負けてバキバキに劣化。 - 2. パッキンが溝から「脱走」する
ガソリンで激太り(膨潤)したNBRが、溝からはみ出してボルトを押し上げたり、シール面からずれたりして、逆に漏れを誘発。 - 3. ホースの外側が「ベタベタ」する
漏れてはいないが、ガソリン成分がゴムを通り抜ける「透過(パーミエーション)」が発生。周りのパーツまで侵食。
【ニトリルゴム(NBR)の特徴まとめ】 ニトリルゴム(NBR)は、オイルやグリスに対して抜群の耐性を持つ、コストパフォーマンスに優れた「耐油ゴムの決定版」です。
工場の機械内部やオイルシールなど、日光の当たらない場所での油封じに最適です。
ただし、「屋外」や「ガソリン」といった条件が加わる場合は注意が必要。そのような時は、別の材質か、別のシールの方法を検討するのが、現場のトラブルを防ぐ近道です。
工場の機械内部やオイルシールなど、日光の当たらない場所での油封じに最適です。
ただし、「屋外」や「ガソリン」といった条件が加わる場合は注意が必要。そのような時は、別の材質か、別のシールの方法を検討するのが、現場のトラブルを防ぐ近道です。
▼次に学ぶべきゴム素材は「EPDM(エチレンプロピレンゴム)」
さて、油に強い「箱入り息子」のNBRの次は、その真逆!
お外が大好き、太陽も雨もへっちゃらな「耐候性のプロ」について学ぼう。次は「EPDM」じゃ。
お外が大好き、太陽も雨もへっちゃらな「耐候性のプロ」について学ぼう。次は「EPDM」じゃ。
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