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ゴム通 > ゴム部品の試作 レベル別調達ガイド その2:脱・手加工とWeb発注

そのゴム試作、本当に「自分でやる」必要はありますか? 簡単そうに見えても、現実には結構ハードルが高いものです。
2回目では、若葉くんのカッター加工大失敗を振り返りながら、設計者が知っておくべき「脱・手加工とWeb発注」を掘り下げます。
ゴム部品の試作、レベル別調達ガイド その1 を読む ゴム部品の試作、レベル別調達ガイド その3 を読む
失敗の振り返り
前回「ゴム通(gomu.jp)」の存在を知った若葉くん。
実はその直前、どうしてもゴムの試作を自分でやりたくて、DIY加工に挑戦していました。
結果は――机の上に転がっている、ボロボロになったゴム板の残骸が物語っています。

古田課長のレクチャー第2回は、その反省会から始まりました。
課長、さっき教えてもらったゴム通に頼む前に……どうしても悔しくて。動画サイトにアップしてあるの見ると、ゴム板なんてスイスイ切れてたんですよ。僕がやると、なんでこんなに断面が斜めになっちゃうんでしょう?
それはね若葉くん、君がゴムという素材の“クセ”を、まだちゃんと理解できていないからだよ。金属や木材と同じ感覚で刃を入れると、ゴムはなかなか言うことを聞いてくれないんだ。
たしかに、ゴムは柔らかいから簡単そうだって、正直ちょっと軽く見てました……。
ゴム加工、ここが落とし穴
君がハマった落とし穴は、大きく分けてこの3つだね。
(1)「逃げる」素材
まず一つ目。ゴムはグニョグニョしてるだろう? だから、刃物を当てるとゴム自体が変形して逃げたり、カットのラインが曲がったりするんだ。
たしかに。うまく行くと思ったのに、きっちり寸法が決まらないし、真っ直ぐにも切れないんです……。
(2)摩擦抵抗の壁
二つ目は摩擦だね。厚みがあるゴムだと、刃の側面にものすごい抵抗がかかる。無理に力を入れて切ろうとすると、断面が斜め――いわゆるテーパー形状になってしまうこともあるんだね。
ああ、それです。上から見るとまあまあの形なんですけど、横から見ると断面が斜めで、重ねると隙間だらけで……。
(3)柔らかさゆえの固定難
そして三つ目。固定の難しさだ。金属や木材なら、万力でガッチリ挟めばいい。ところがゴムは柔らかいから、強く挟めば挟むほど潰れて変形してしまう。変形した状態で切っても、元に戻ったときに狙った寸法にならない。
うわぁ……全部その通りです。『柔らかい=扱いやすい』だと思ってたんですけど、むしろ逆なんですね。
そういうことだね。だから、DIYの道具だけで工業部品レベルの精度を出そうとするのは、相当ハードルが高いんだ。
【ヒント】DIYでゴム加工がうまくいかない主な理由
- ゴムの持つ柔らかさが災いして「逃げる」ため、狙いどおりの寸法が出にくい。
- 厚みがあると刃の側面の摩擦が大きくなり、カットしにくい。
- 柔らかい素材をしっかり固定する治具(ジグ)を用意するのが難しい。
- 刃の切れ味が落ちやすく、品質が安定しにくい。
→ 寸法精度や断面品質が求められる工業部品は、「DIYで頑張る」よりも、最初から加工専門の会社に相談した方が、結果的に早くて安いケースが多くなります。
「穴あけポンチ」や「コンパスカッター」
でも課長、カッターは厳しいとしても、穴あけポンチとかコンパスカッターなら、なんとかなるんじゃないですか? ホームセンターにも売ってましたし……。
薄いゴムシートや、あまり精度を問わないパッキンなら、それでもいい場面はあるね。ただ、今回の部品みたいに“ある程度の厚みがあって、気密性も必要”という場合は、別の問題が出てくる。
別の問題……ですか?
ポンチで叩いて穴を開けると、ゴムがギュッと圧縮された状態で刃が通る。ポンチを抜いてゴムが元に戻ると、断面はどうなると思う?
あ……! 真ん中だけがくびれた鼓(つづみ)型みたいになっちゃいますかね。
その通り。一見穴は開いているんだが、断面がきれいな円筒になっていないことも多いはずだ。ボルトの通し穴ならまだしも、高精度が求められるシーンや、気密性が必要なところでは、これではまずいよね。
じゃあ、コンパスカッターで円を切り抜くのも……?
やはり厚みがあると、途端に加工にてこずる。薄いゴムだときれいに見えても、5mm、10mmと厚くなってくると、刃が斜めに入ったり、途中でゴムが逃げたりするし、おまけに怪我のリスクも上がるね。DIY向けの道具は、簡単な形をそこそこの精度で加工するには便利だ。ただ、設計図面どおりの寸法・形状を、安定して出し続けるには限界があるんだよ。
プロの「切削・機械加工」
じゃあ、やっぱり高精度な部品が必要なら、金型を作るしかないんですか? 納期も予算も厳しいのに……。
そこで登場するのが、前回話した『ゴム通(gomu.jp)』、その運営元の『扶桑ゴム産業』だ。彼らは、金型を作らずに、ゴム素材を数値制御されたNC加工機などを使ってカタチにする、切削加工を得意としてるからね。
でも、さっき聞いたばかりですけど、ゴムって逃げるんですよね。そんな素材を機械で正確に削るなんて、どうやって……?
そこがプロのノウハウというものだね。ゴムをどう固定するか、どんな刃物を使うか、どのくらいのスピードで削るか――そういった条件を、一つひとつ経験とデータで積み上げているらしいね。ほとんどマル秘の技術だから具体的なところは我々にはわからないけど、金属加工とは違う独特の技術だね。
注釈:パターンオーダーに特化した「ゴムキル」なら、このような製品がお手軽に注文できます。
ゴムの加工には、こんな方法がある(一部)
- カッティングプロッタによるシートの切り抜き
→ CADデータをもとに、専用カッターでゴムシートやスポンジシートを一筆書きのようにカット。手作業では難しい細かい形状も、安定した品質で量産しやすい。カット面が綺麗に仕上がる。
- ウォータージェットによる切断
→ 高圧の水で、ゴムやスポンジを型なしで切り抜く方法。熱の影響を嫌う材質にも適している。材料が厚くなるほど、切削痕が目立つ。
- NC旋盤による切削
→ ゴムの丸棒から削り出したり、段付き・溝付きの形状を作ったりする。溝やテーパー、段差など、立体的な形状を持つ部品にも対応しやすい。
もちろん、材質や形状によって難易度は変わるし、すべての図面に無条件で対応できるわけではない。それでも、普通なら『ゴムでは難しい』とされるような形状を、実現してこられた実績があるんだね。
他にも、どんな実績があるんですか?
産業機械のシール部品や、ローラー、装置内で使われる緩衝材やガイドパーツ。中には、半導体関連装置や精密機器向けのように、かなり厳しい仕様が求められる案件もあると聞いている。文字通り一桁、いや二桁上の精度が求められるものだね。そういった世界で納品できたのは、図面どおりの形と寸法に仕上げる技術力があるからだと、私は見ているよ。




なるほど……。僕のカッターで失敗したパッキンとは、そもそも前提が違うんですね。
扶桑ゴム産業のプロ加工に向いている案件の例
- 金型を作るには数量が少なく、試作や小ロットで済ませたい部品。
- 段差・溝・テーパー、さらには3次元の曲面のあるパーツなど、立体的なゴム部品。
- 厚みがあり、カッターやポンチでは断面や寸法が安定しにくい製品。
- 材質・形状によって変形しやすい、少し“やっかいな”ゴム部品。
→ ゴム通(gomu.jp)から素材だけを買ってDIYするか、ゴムキルで定型加工を頼むか、図面を添えて特注切削加工として相談するか――用途や必要精度によって選べるのが、ゴム通の強みです。
餅は餅屋へ。それでもDIYが無駄になるわけではない
最初からゴム通に相談しておけばよかった……。材料費と、僕の半日が無駄になっちゃいました。
いや、まったく無駄というわけではないさ。自分の手で失敗してみると、『なぜプロに頼むべきなのか』が、実感として分かるだろう? それは、これから設計をしていくうえで、大きな財産になる。
そう言っていただけると、少し救われます……。
これに懲りたら、次からは“どこまで自分でやるか”と“どこからプロに任せるか”を、きちんと考えることだね。
・精度がいらない部分は、自分でサクッと加工。
・形状がシンプルなら、ゴムキルでWeb注文。
・図面が必要な部品は、扶桑ゴム産業に図面を送って見積もり。
だいたい、こんなふうに使い分けておけば、時間もコストも大きくは無駄にならないはずだ。
・精度がいらない部分は、自分でサクッと加工。
・形状がシンプルなら、ゴムキルでWeb注文。
・図面が必要な部品は、扶桑ゴム産業に図面を送って見積もり。
だいたい、こんなふうに使い分けておけば、時間もコストも大きくは無駄にならないはずだ。
はい! まずは今回のパッキン、図面を整えてゴム通から相談してみます。……ところで課長、この失敗したゴムの残骸、どうしましょう?
そうだね、コースターにでもして使うといい。『ゴムは柔らかいけれど、甘くはない』――そのことを、毎日思い出せるようになるだろう。
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