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接着剤はとても便利で身近なケミカル製品の一つ。でも、なぜ接着できるのか、そのメカニズムは今もって謎の部分も多いとか…。接着剤とひとことで言っても、その種類や用途は千差万別。このコーナーでは、サイトでご紹介している接着剤を取り上げ、上手な使い方をご紹介します。
どうしてくっつくの?
「接着」とは、物と物との間に働くいろんな力によって、両者をくっつけてしまうことですよね。強力に接着して、無理矢理引き離そうとすると材料のほうが破断しまうこともあれば、一方、全然くっつかない、なんとかくっついている、といった程度のものもあります。実は、くっつける物と接着剤の「相性」はとても大切なのです。接着にかかわるメカニズムには、アンカー効果や、分子同士が持つ引きあう力などが関係しているようです。実は、まだまだ接着には未知の部分もあるようです。接着とは一つの力だけが働いた結果というより、複数の力が働いて生まれる結果と考えたほうがよさそうです。(図を参照)
いろいろな接着剤
ゴムの接着に使われるものは、瞬間接着剤、ゴム溶剤形接着剤、シリコーンゴム用の RTV、多様途を特長としているタイプのものなどがあります。エポキシ系接着剤は、金属とゴムの接着に向いているものや、硬化後も弾力性を維持できる特殊なものなどがあります。(通常のエポキシ系接着剤はゴムの接着には向いていません。)
瞬間接着剤 |
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瞬間接着剤は空気に含まれる水分とシアノアクリレートという樹脂がお互いに反応して固まります。量が多いと白化現象が発生します。 接着する前にプライマー処理(専用の溶剤で下地処理をする)をすることで強度が得られるものもあります。 |
瞬間接着剤の一例はこちら プライマーの詳細情報はこちら |
ゴム溶剤形接着剤 |
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合成ゴムなどが有機溶剤に溶け込んでいるタイプの接着剤です。 比較的早く接着強度を得ることができますが、使い方には注意が必要です。接着する両面に薄く塗り、少し時間を置くこと(オープンタイム)が必要です。 |
セメダイン 575Fの詳細情報はこちら ダイアボンド No.1600 の詳細情報はこちら ウエットスーツ用ボンドの詳細情報はこちら |
スプレータイプの接着剤 |
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ゴム溶剤系の接着剤でスプレータイプ。 広い面積にさっと均一に吹き付けることができるのでとってもベンリ。 |
スプレー接着剤 3M スプレーのり99 詳細情報はこちら スプレー接着剤 ボンド 強力G17スプレー 詳細情報はこちら |
シリコーンゴム用の接着剤 |
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シリコーンゴムの接着に向くものとして、RTVがあります。RTVとは硬化するとシリコーンゴムになるタイプのものです。硬化までに時間がかかりますので、接着にはそれなりの技術が必要です。ThreeBond1530もシリコーンを強力に接着します。扱いが比較的容易です。 |
信越シリコーン KE42T 詳細情報はこちら ThreeBond1530 詳細情報はこちら |
多用途タイプ |
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硬化後も柔軟性を維持する、という比較的新しいコンセプトのもとに生まれた接着剤です。接着できる素材の「守備範囲」が広く、いろんなものにくっつきます。ただし、絶対的強度の点では他の接着剤と比較すると若干劣る場合もあります。 |
エポキシ系接着剤 |
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通常、エポキシ系接着剤は柔軟性が不足するため、ゴムどうしの接着には向いていません。セメダイン EP001Kなど柔軟性をキープする特殊なタイプのものを選ぶ必要があります。フッ素ゴムと金属の接着にはエポタックを使用します。 |
エポタックの詳細情報はこちら 柔軟性のあるEP001Kの詳細情報はこちら |
「どの接着剤を使うの?」
接着剤は相性が大切。ものによっては接着できないものがあります。下表を参考にして接着剤を選定してください。注意:表の内容はあくまでも目安です。接着強度を保証するものではありません。あらかじめご了承ください。
接着剤の組み合わせ | おすすめ | 使えるもの |
シリコーンゴムどうし または金属とシリコーンゴム |
瞬間接着剤 | |
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黒ゴム(EPDM を除く)と金属 | 瞬間接着剤 | |
黒ゴム同士 | ||
黒ゴムと樹脂(EPDM を除く) | ThreeBond1530、セメダインスーパーX |
(プライマー処理が必要) |
ウレタンどうし | 瞬間接着剤(プライマー処理が必要) | |
ウレタンと金属 | ThreeBond1530、セメダインスーパーX または弊社にお問い合わせください |
(プライマー処理が必要) |
樹脂と金属 | ThreeBond1530、セメダインスーパーX |
(プライマー処理が必要) |
ゴムスポンジどうし |
ThreeBond1530、 |
セメダイン575F |
ゴムスポンジと金属 | ThreeBond1530、セメダイン575F | 瞬間接着剤 |
- 注意事項
※接着は永久的な強度を保証するものではありません。経年劣化によって急激に接着力が低下することがあります。
※面積が広いシートの接着には両面テープを選択することもあります。
接着の難しいウレタンやEPT、EPDMを瞬間接着剤で固定する場合、接着面は必ずプライマー処理をします。
接着剤は耐熱性や耐薬品性の劣るものがあります、ご使用する環境にご注意ください。
(例:耐熱性が求められる環境での使用を想定したシリコーンゴムどうしを瞬間接着剤で固定するなど。)
※金属や樹脂の種類によっては接着剤が使えないものもあります。
接着強度は場合よって変化します
接着強度は、接着している素材の厚さ・形状・硬さなどによって大きく異なります。たとえば、曲がりやすい性質を持つゴムは、接着面の端の方からめくれるような力が加わると接着箇所が破壊される(剥離する)ことがあります。一方で、硬めのゴムや厚さのあるゴム、あるいは、ゴムと接着する対象が金属のような曲がりにくい材料の場合は、比較的剥離しにくくなります。逆に、素材がかなり軟らかくなると、接着箇所が外れてしまう前に、素材そのものが破壊される場合もあります。
参考までに、接着の試験方法についてはJIS(日本工業規格)で定められており、「引張」や「引張せん断」、「剥離」や「衝撃」などに対してどのくらいの強度があるかという検査項目が定められているようです。なお、本ページは試験方法について詳述したり、接着強度の数値的なデータを提示したりすることが目的ではありません。あくまでも参考となる情報を提示しているにすぎません。(本ページ内の最後の項目をご参照ください。)
接着力を動画で確認
実際に接着の使い方、ゴムの「感触」や、接着の「ようす」を視覚的に確認できる素材を紹介する動画をご用意しました。また、接着したものを無理やり剥がす実験の結果も表にまとめています。
接着の相性 | Front#105 使い方 |
セメダイン 575F 使い方 |
セメダイン EP001K 使い方 |
セメダイン スーパーX 使い方 |
ThreeBond 1530 使い方 |
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クロロプレンゴム 硬さ45 素材の動画 |
◎ 動画 |
○ 動画 |
○ 動画 |
○ 動画 |
○ 動画 |
△ 動画 |
クロロプレンゴム 硬さ65 素材の動画 |
◎ 動画 |
○ 動画 |
△ 動画 |
△ 動画 |
△ 動画 |
△ 動画 |
クロロプレンゴム 硬さ90 素材の動画 |
◎ 動画 |
◎ 動画 |
△ 動画 |
△〜○ 動画 |
△〜○ 動画 |
△ 動画 |
天然ゴム 硬さ65 素材の動画 |
◎ 動画 |
◎ 動画 |
○ 動画 |
○ 動画 |
◎ 動画 |
△ 動画 |
ニトリルゴム(NBR)硬さ70 素材の動画 |
◎ 動画 |
△ 動画 |
△ 動画 |
△ 動画 |
△ 動画 |
△ 動画 |
フッ素ゴム 硬さ80 素材の動画 |
◎ 動画 |
△ 動画 |
△〜○ 動画 |
△ |
○ 動画 |
△ 動画 |
EPT 硬さ70 素材の動画 |
◎ 動画 |
△ 動画 |
△ 動画 |
△ 動画 |
△ 動画 |
△ 動画 |
シリコーンゴム 硬さ30 素材の動画 |
◎ 動画 |
× 動画 |
○ 動画 |
◎ 動画 |
◎ 動画 |
× 動画 |
シリコーンゴム 硬さ50 素材の動画 |
◎ 動画 |
× 動画 |
◎ 動画 |
◎ 動画 |
◎ 動画 |
× 動画 |
シリコーンゴム 硬さ70 素材の動画 |
◎ 動画 |
× 動画 |
◎ 動画 |
◎ 動画 |
◎ 動画 |
× 動画 |
ウレタンゴム 硬さ50 素材の動画 |
◎ 動画 |
△〜○ 動画 |
△ 動画 |
△ 動画 |
△ 動画 |
△ 動画 |
ウレタンゴム 硬さ70 素材の動画 |
◎ 動画 |
△〜○ 動画 |
△ 動画 |
△ 動画 |
△ 動画 |
△ 動画 |
ウレタンゴム 硬さ90 素材の動画 |
△〜○ 動画 |
△〜○ 動画 |
△ 動画 |
△〜○ 動画 |
◎ 動画 |
△ 動画 |
アメゴム 素材の動画 |
◎ 動画 |
△ 動画 |
× 動画 |
△ 動画 |
△ 動画 |
△ 動画 |
上質アメゴムシート 素材の動画 |
◎ 動画 |
△ 動画 |
× 動画 |
△ 動画 |
△ 動画 |
△ 動画 |
CRスポンジ角紐 硬さ20 素材の動画 |
◎ 動画 |
◎ 動画 |
皮膜付き△ 皮膜なし◎ |
皮膜付き△ 皮膜なし◎ 動画 |
皮膜付き△ 皮膜なし◎ 動画 |
◎ 動画 |
ヒント
今回は、使用した材料のほとんどが3㍉と薄く、端から剥がす力をかけやすい状況でした。材料が厚かったり、あるいは硬かったりした場合、応力が接着面に集中しないため、もっと接着力がアップする可能性があります。(前述の「接着強度は場合によって変化します」をご参照ください)
ヒント:接着剤の上手な使い方
十分な接着強度を得るためには、接着剤の種類だけではなく使い方に留意することがとっても大切。種類によって使用方法はまったく異なりますので、説明書をよく読んで使い方を確認しましょう。
このコーナーでは、多くの接着剤に共通している「使い方」をまとめてみました。
コツその 1「準備は念入りに」
接着剤の種類が変われば使用法も変わります。「注意書き」をまずは十分に確認しましょう。健康被害や火災を引き起こしかねない有機溶剤が入っているものもあります。作業環境は十分に換気してください。瞬間接着剤をご使用の際には防護メガネも必要です。手袋やマスクも忘れずに。
それから、接着剤を付ける前に、接着する者どうしを組み合わせて、「アタリ」を確認するのも大切(仮組み)。キレイに仕上げるには、急がず慌てず「まず準備」です。
コツその 2「脱脂をしましょう」
ゴムの表面には製造工程で使用された離型剤などの油分が残っています。まずはしっかりと脱脂しましょう。この時、有機溶剤を使用する場合はマスクを着用して、十分に換気してください。
コツその 3「下地処理剤はとても大切」
接着面の表面をサンドペーパーなどで荒らすことで接着力が増す場合があります。この時に出る粉はキレイに取り除きましょう。
接着剤によってはプライマーを塗布する必要のある場合があります。(プライマーとは接着剤ののりを良くするための下地処理剤のことです。)
コツその 4「薄く均一に」
接着剤は必ずしもたくさんつければ OK というものではありません。接着剤の種類にもよりますが、基本的に薄く均一に塗布するのが基本です。
接着剤の役目は、あくまでも物と物との橋渡しなのです。
コツその 5「しっかり固定」
接着剤がある程度の強度に達するまで、しっかり固定することが大切です。実用強度が確保されるまで、クランプで圧着したり、おもしを載せたり、テープで固定したりしましょう。すぐにくっつく瞬間接着剤でも実用強 度までひと息固定しておくことが必要です。
「ゴム通の加工情報」で接着の事例をご紹介
お知らせ(免責事項)
本ページは、正確な科学的な情報や接着強度の試験方法について詳述したり、数値的なデータを提示したりすることが目的ではありません。あくまでも目安としての情報を提示しているにすぎません。本ページに掲載される情報や、リンクされている動画の内容は、制作者である 株式会社扶桑ゴム産業 ゴム通事業部(以下「制作者」)が独自に調査・実施したものです。使用範囲、性能等などは、保証値ではありません。したがって、使用目的や用途、条件等に適合しているかどうか、使用者ご自身が自己責任のもとに判断しご利用ください。本ページにある情報を利用することで発生するいかなる危険や問題については、利用者ご自身が負担するものとします。制作者側は一切の責任を負うことはできません。個別製品の詳細な仕様については必ず、各製品のメーカーに直接お問い合わせください。